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本来であれば今日・・・

  • 執筆者の写真: Nobuko Kitaoka
    Nobuko Kitaoka
  • 2020年7月24日
  • 読了時間: 4分

更新日:2021年2月12日



第32回オリンピック競技大会が東京で開幕される日でした。本来であれば、私は今頃は英国セーリングチームのサポートチームの一員として活動をしている予定でした。

なんとも言えない複雑な思いです。

私はグラフィックデザインのお仕事以外でも、国際交流の進展のため、現在住んでいる神奈川県葉山町の「語学ボランティア」(※1 )という制度に登録しています。その語学ボランティア制度とは、葉山町で行われる世界的なスポーツ大会や様々な国際交流での通訳、語学支援活動を町民が有志で手助けし、外国人が安心して過ごせる地域づくりと、町の更なる国際化を推進することを目的として、2016年から始まりました。私が昨年聞いた時点では登録者数は200名を超え、7カ国語に対応されているそうです。

そういった活動に参加している理由は、20代にバックパッカーとしてアジアやヨーロッパに滞在した際、またその後コンピュータシステムの勉強でニュージーランドに留学した際に、自分が病で倒れた時や現地の言葉がうまくしゃべれなくて困った時など、幾度となく助けてもらいました。身寄りのない地での困難は想像以上に辛く、今度は自分が貢献できることがあれば、恩返しをしたい、積極的に人のためになりたいと思うようになったからです。


私は語学に関してはネイティブでも通訳者でもなく完璧ではありません。が、コミュニケーションは割と得意な方で、少しでも何かの役に立てるのではないかと思い始め、子供達も大きくなってきて、少し自分の事を考える時間ができた2017年、その制度に登録しました。その後、茶道の通訳や、子供達との国際交流イベントの語学支援活動のお手伝いを時折させていただきました。通訳はなんとかなるかな、と思っていました。が、やはり実際、人々の前で言葉をデリバリーするといった作業には経験と鍛錬、緊張を伴います。そのため、通訳の短期講習を受けたりして、自分なりに訓練をしたりしました。

2017年、現・山梨町長が五輪出場を前提とした3年間にわたる事前キャンプに関する協定を締結。神奈川県内で初めてのことだそうです。英国ナショナルチームをホストタウンとして受け入れ、その「語学ボランティア」制度の一環で、チームサポーターとしての募集があり、自分の子供達がたまたま町のヨットクラブに入っている縁もあり、参加することになりました。

私は主にイギリスから来るチーム専属シェフのアシスタントとして、シェフの作る朝ご飯のサポートを担当。キャンプの間はほぼ毎日早朝5:40、家では娘たちの寝顔を見つつ、自転車で5分ほどのチームのキャンプ地である近所の保養所に到着、チームのサポートをします。チームは選手やコーチ、マネージャーに加え、シェフら最大50〜60名にもなる大所帯。朝ご飯の時間はにぎやかになります。そういった選手やコーチ陣と朝ごはんを通じてのやりとりや、葉山町の紹介や案内などの語学支援活動をしてきました。


今年の始め、町民サポートメンバーは有志で「セーリング応援プロジェクト」を結成。東京オリンピックに向け、セーリングスポーツの普及はもとより、地元の地域活性、英国チームの事前キャンプに伴う、町内の機運醸成につなげていこうと活動していました。それにまつわるポスター類の制作にも携わってきましたが、それも今は我慢の時となってしまいました。


葉山町語学ボランティア

「セーリング応援プロジェクト」の打合せ。(後列左から2番目)


突然パンデミックな状況になり、コロナ禍が残した影響は大きく、スポーツというあり方が少し変わってきていることを感じる昨今ですが、それでもやはりオリンピックはアスリートにとって特別なもの。その大きな目標が延期されてしまったことは、アスリートにとってかなりの喪失感だったのではないかと思います。私も実はバレーボールの強豪校にいたことがあり、苦労や絆を感じながら過ごした小学から高校生活。今の自分があるのは、その時がんばった経験があるから、と感じます。


今年はシェフのアシスタントに加え、セーリングの試合会場である江ノ島までオリンピック選手をアテンドする予定でした。特別になるはずだった1日ですが、時代や環境が変わっても、スポーツで勇気と希望を与えてもらいたい、そう願っています。

英国セーリングチームの選手はこちらからご覧いただけます。


※1 2020年7月現在、葉山町語学ボランティア登録は、一定数に達したため、募集は一時中止となっています。


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